「AGA治療を始めたい」
「でも、本当にAGA治療に効果はあるの?」
薄毛を改善することができると言われるAGA治療。
しかし、AGA治療は本当に効果があるのか不安で、なかなか一歩を踏み出せない方も多いでしょう。
そこで今回は、医師の監修のもと
- AGA治療の効果
- AGA治療にかかる期間・費用
について解説します。
AGA治療の効果について理解することで、納得して治療を始めることができますよ!
*この記事では学術的な内容に関して医師の方に監修をいただいています。
目次
AGA治療に効果はある?
AGA治療は研究が進んでいて、しっかり効果がある治療方法がわかっています。
AGAの主な治療法は、薬を使った投薬治療と頭皮に毛髪を植える植毛手術。さらに最近では、頭皮に毛髪再生成分を注入する治療法も登場しています。
AGA治療の研究が進み治療薬や治療法が増えた一方、どの治療法が効果的なのか正しい情報が不透明になっているのも事実。
そこで、日本皮膚科学会は『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』を発表し、効果的なAGA治療法についてまとめました。
ガイドラインでは、AGAの治療方法の効果を5段階で評価。その中で最も効果が認められているのは次の3種の治療薬を使った投薬治療です。
- フィナステリドを含む飲み薬
- デュタステリドを含む飲み薬
- ミノキシジルを含む塗り薬
そのため、多くの場合でAGA治療は投薬治療から始まります。
次に有効なのは植毛手術。しかし、十分な技術と経験を持つ医師による手術が必要なため、投薬治療で効果が出なかった症例について勧めるようにしています。
AGA治療薬を使えば必ず薄毛が改善する?
AGA治療薬を使って改善できるのは毛根が生きている部分のみです。毛根が死んでしまい薄い毛すら生えていない部分は髪の毛を増やすことができません。薄毛が気になり始めたら、手遅れになる前に医師に相談するようにしましょう。
ちなみに、ガイドラインで効果が認められていない治療だから効果がないとは言えません。
例えば、日本医療毛髪再生研究会が研究するHARG療法では、薄毛が改善した症例が複数報告されています。
*参考:日本医療毛髪再生研究会『HARG療法症例』
このように効果が認められていないものの、薄毛改善が期待できる最新の治療法も存在することは理解しておきましょう。
続けて、AGA治療の基本である投薬治療で使われる薬の種類と効果について解説します。
なお、植毛手術と注入治療については記事後半の「投薬治療で効果がない場合の治療法」で解説します。
AGA治療で使われる薬の種類と効果
AGA治療は、効果が裏付けされている投薬治療から始めるのが基本です。
AGAクリニックでは、医師の診察をもとに適切な薬を提案してくれます。
しかし、最終的には自分で判断をする必要があるため、AGA治療で使われる薬の種類と効果について知っておきましょう。
AGA治療薬の種類と効果
①フィナステリドを含む飲み薬の効果
フィナステリドを含む飲み薬には、抜け毛を抑制することで薄毛の進行を食い止める効果があります。
代表的な治療薬はプロペシア。また、国内の製薬メーカーから安価なジェネリック医薬品も販売されています。
フィナステリドの効果をまとめると以下の通り。
フィナステリドの効果まとめ
- 5αリダクターゼとテストステロンの結合を阻害
- 抜け毛の原因ホルモンDHTの分泌量が減る
- 抜け毛を抑えることができる
AGAで抜け毛が起きる原因は、ジヒドロテストステロン(以下DHT)という男性ホルモン。DHTは女性も含め誰の体にも存在するホルモンですが、分泌量に個人差があります。
DHTの分泌量が多くなると毛髪を作る毛母細胞の働きが低下。薄毛の改善には、何よりも先にDHTの分泌を抑えて抜け毛を減らすことが非常に重要です。
そこで、DHTの分泌を抑えることができる成分がフィナステリド。5αリダクターゼとテストステロンが結合してDHTに変化する作用を阻害します。
フィナステリドによってDHTの量が減るため、抜け毛を抑えることができるのです。
ちなみに、フィナステリドには髪の毛を生やす効果はありません。薄毛の進行を食い止めるだけであればフィナステリドで十分ですが、髪の毛を増やしていきたい場合は、別の治療薬も併用して治療します。
AGAの進行を食い止めるためには、第一に「抜け毛を抑える」ことが重要です。そのため、多くの場合フィナステリドの飲み薬を処方しています。薄毛の範囲が狭い方であれば、フィナステリドの処方だけで十分に改善する場合もありますよ。
②デュタステリドを含む飲み薬の効果
デュタステリドを含む飲み薬には、フィナステリドと同じくDHTの生成を抑えて抜け毛の進行を抑えてくれます。
代表的な治療薬はアボルブとザガーロです。
フィナステリドと違う点は次の3つ。
- 抜け毛の抑止効果が高い
- 治療費(薬代)が少し高い
- 副作用の発現率が高い
デュタステリドは、フィナステリドと比べて2,000円/月ほど割高。また副作用のリスクもあるため、基本的にはフィナステリドが採用されます。
しかし、フィナステリドは万能ではなく効果が出ないタイプの薄毛もあります。そのため、フィナステリドで効果が出なかった場合にデュタステリドを使います。
デュタステリドは、フィナステリドでは改善できないタイプの薄毛にも効果があります。しかし、やや副作用のリスクが高い治療薬となっているので、医師の説明を十分に理解してから処方してもらいましょう。
③ミノキシジルを含む塗り薬の効果
ミノキシジルを含む塗り薬の効果は、毛母細胞を活性化して発毛を促すことです。
代表的な治療薬はロゲイン。他にも、リアップやスカルプDメディカルミノキなど、ドラッグストアで販売されている薬もあります。
ミノキシジルは頭皮の毛穴に入り込んで毛根を刺激。そして、髪の毛の成長を促す毛母細胞が活性化することで元気な髪の毛を生やします。
ミノキシジルが髪の毛を生やす仕組み
髪の毛には毛周期と呼ばれる成長サイクルがあり、
- 髪が生える成長期
- 髪の成長が止まる退行期
- 髪の毛が抜け落ちる休止期
を繰り返しています。(以下図)
AGAでは髪の毛の成長サイクルが乱れて、休止期が長期化。そして、髪の生えるスピードが落ち、薄毛が進行していきます。
そこで、ミノキシジルを使うことで毛母細胞が活性化し、髪の毛が生える成長期に移行させることができるのです。
ミノキシジルの治療薬は成分の配合量も重要。AGA治療に効果があるのはミノキシジルが5%配合された治療薬なので覚えておきましょう。
また、前述したようにフィナステリドやデュタステリドには発毛作用がありません。髪の毛を生やすためには発毛を促進するミノキシジルの外用薬を併用します。
ミノキシジルの内服薬は効果ある?
確かに発毛作用はありますが、副作用のリスクも高い薬です。さらに、ミノキシジルの内服薬はAGAの治療薬として認可されていません。安易に使用しないようにしましょう。
ところで、AGA治療薬に副作用はある?
AGA治療には副作用があるという話を聞いて不安に思っている方も多いでしょう。
ここでは、AGA治療を進める上で気になる副作用について解説するので参考にしてください。
治療薬として承認される前には安全性の評価が必要なため、副作用が起きる可能性や症状の種類はある程度わかっています。
さらに、クリニックの医師は副作用について深く理解したうえで治療薬を処方するので、心配しすぎる必要はありません。
また、信頼できる医師であれば納得いくまで説明してくれるので、安心して治療ができますよ。
ちなみに、前の項目で解説したそれぞれの治療薬の副作用について、発現率と症状をまとめると次の通り。
治療薬の種類 | 副作用の発現率 | 副作用の症状 |
---|---|---|
フィナステリド | 0.5% | 性欲の低下 勃起不全 肝機能障害 |
デュタステリド | 11.7% | 性欲の低下 勃起不全 肝機能障害 発疹 頭痛・抑うつ感 腹部の不快感 |
ミノキシジル (外用薬) |
8% | 湿疹 かゆみ |
*参考:プロペシア錠0.2mg/1mg 医薬品インタビューフォーム
*参考:ザガーロの添付文書情報
*参考:リアップX5プラスネオの発毛効果データ
AGA治療で最も一般的なフィナステリドは、ほとんど副作用の心配がなく使うことができます。
また、ミノキシジルについても副作用の症状自体が軽いため、そこまで心配しすぎる必要はありません。
デュタステリドの治療薬を使う時だけは、やや副作用のリスクが高いというポイントだけ覚えておきましょう。
万が一、副作用が起きてしまったら?
副作用と思われる症状が起きてしまったら、すぐに医師に相談してください。薬の服用も中断しましょう。ちなみに、副作用は持病や体質も関係します。治療を始める前のカウンセリングで正しく医師に伝えておくことで、副作用のリスクを減らすことができますよ。
【参考】AGA治療の副作用について解説
AGA治療にかかる費用と期間
AGAの投薬治療で発生する費用は基本的に毎月の薬代で、だいたい1ヶ月に3,500円~40,000円程度。
- 症状の進行具合
- 患者の希望
- クリニック独自の治療薬を選ぶか市販薬を選ぶか
などによって治療薬の種類や量が異なるため治療費に大きな差があります。
【参考】治療費の目安
AGAスキンクリニックの料金プランを参考に、目的と治療薬の選択による費用の違いを確認しましょう。
- 抜け毛を減らしたい+オリジナル治療薬を選択
>>14,000円/月 - 抜け毛を減らしつつ発毛したい+オリジナル治療薬を選択
>>35,000円/月 - 抜け毛を減らしたい+ジェネリック医薬品を選択
>>初月3,400円 2回目以降4,800円/月
ちなみに高い治療方法ほど効果があるわけではありません。最適な治療方法はAGAのプロである医師から提案してもらえますよ。
最適な治療法を考えてもらうためにも、カウンセリングでは嘘をつかないようにしましょう。
また、AGA治療の効果が出るまでの期間は6ヶ月~1年間。個人差はありますが、治療には長い期間が必要です。
『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』の中でも、フィナステリドの有用性について「少なくとも 6 カ月程度は内服を継続し効果を確認すべきである」と書かれています。
AGA治療は効果が出たら終わるわけではありません。薬の服用をやめると、また抜け毛が進行しまいます。そのため、治療は長期間続くものと理解しておきましょう。
【参考】AGA治療の種類と費用相場を解説
投薬治療で効果がない場合の治療法
AGAの症状の進行具合によっては、投薬治療で効果が出ない場合もあります。
ここでは、投薬治療で効果が出なかった場合に受けられる2つの治療法について解説します。
自毛植毛
「自毛植毛」は、まだ頭皮に残っている自分の髪の毛を脱毛部分へ移植する手術です。
保険適用外で行う手術となるため、100万円以上は必要な高額な治療。しかし、手術が終わればすぐに効果が出るメリットもあります。
高額でもいいから時間をかけずに薄毛を解消したいという方は検討してみましょう。
自毛植毛の術式は、
- FUT法
- FUE法
- マイクログラフト法
- 単一植毛法
などがあります。また、クリニック独自の技術で開発したMIRAI法(親和クリニック)やiDirect法(アイランドタワークリニック)など各クリニックで様々です。
いろいろな術式がありますが、一番注目したいポイントは「メスを使うかどうか」。メスを使わない術式の方が、
- 痛みが小さい
- 傷跡が残らない
- 自然な髪型に仕上がる
- 植毛がバレにくい
などメリットが大きいためおすすめです。
また、自毛植毛は手術になるので、確かな技術と豊富な経験を持つ医師にお願いするようにしましょう。
ちなみに、植毛治療は人工毛で行うクリニックもありますが、安全性について疑問視されています。植毛を行うなら自毛植毛をするようにしてください。
投薬治療と異なり、自毛植毛なら毛根が死んでしまった箇所にも効果があります。自毛植毛を受ける際は、施術実績が多く経験豊富な医師が在籍するクリニックにお願いしましょう。
注入治療
「注入治療」は成長因子を含んだ薬液を頭皮に直接注入する治療方法です。
成長因子とは人体の細胞を活性化させる物質。美容や医療の分野で大きく注目されています。
AGA治療においては、成長因子が毛母細胞を活性化して発毛を促進。投薬治療で効果が出なかった薄毛を改善することが期待できる治療方法です。
注入治療は注入する薬剤によって次の2種類に分かれます。
- メソセラピー
- HARG療法
それぞれ詳しく解説していきます。
メソセラピー
注入治療の1つ目は病院や製薬会社など民間が開発したオリジナル薬剤を使う「メソセラピー」。
数種類の成長因子を組み合わせた薬剤を頭皮に注入する治療法で、費用相場は10万~50万程度です。
注射器を使った注入方法のほか、最近では痛みが少ないジェット式やレーザー式も登場。各クリニックで採用している治療方法が異なります。
気になる方はクリニックの公式サイトでチェックしてみましょう。
AGA治療でメソセラピーだけを行うことはほとんどありません。多くの場合、投薬治療を行いながら、さらに効果を高めるための補助治療として実施します。
HARG療法
注入治療の2つ目は日本医療毛髪再生研究会が開発した薬剤を使う「HARG療法」。
数種類の成長因子に加え150種類以上のサイトカインが配合されたHARGカクテルを頭皮に注入します。
治療費は50万~100万程度が相場。メソセラピーと比べると高額な治療になりますが、その分高い効果が期待できます。
成長因子のみの薬剤と異なり、サイトカインが作用することで
- 毛を生み出す組織の再生・活性化
- 毛の成長促進
に働きます。
また、安全性も高く副作用のリスクも小さいのもポイントです。
まだ症例数が少ないものの、現在も発展途上で研究を繰り返している注目の治療方法ですよ。
なお、どのクリニックでもHARG療法が受けられるわけではありません。「HARG療法認定施設」として認められているクリニックのみ治療可能なので覚えておきましょう。
HARG療法はどのクリニックでも行えるわけではありません。「HARG療法認定施設」として認められているクリニックのみ治療可能なので覚えておきましょう。HARG療法だと偽って治療を行うクリニックも存在するため、治療を受ける際は気を付けてください。
AGA治療で効果が出ない人に考えられる原因
最後に、AGA治療で効果が得られない人に考えられる原因を解説します。
実際、AGA治療で効果を出している人もいれば、効果が出なくて困っている人がいるのも事実。
これから紹介する原因に自分が当てはまらないか確かめてみてください。
AGA治療で効果がない時の原因
治療開始が遅かった
AGAは治療開始が遅れると満足する効果を得られない可能性があります。
AGA治療は毛根が完全に死滅していない箇所にしか効果が出ません。すでに脱毛範囲が広くなり産毛すら生えていない場合は、どんな治療薬を使っても意味がないのです。
そのため、AGAは症状が手遅れになる前に医師へ相談し、治療をスタートするようにしましょう。
ちなみに、これ以上の抜け毛を抑えることができるので、今の髪の毛を維持するという意味ではAGA治療を行う価値はありますよ。
治療開始が遅くなり毛根が生きていない場合は、植毛治療を受けることができます。高い費用がかかっても髪の毛を増やしたいと強く思う人は検討してみてください。
治療を開始したばかりで効果が出ていない
AGA治療は効果が出るまでに時間がかかるため、治療を開始したばかりで効果が出ていない可能性があります。
「AGA治療にかかる費用と期間」でも説明しましたが、AGA治療で効果が実感できるまでに6ヶ月~12ヶ月が必要です。
また、効果が出るまでの期間は個人差が大きく、効果を実感するには長期にわたり根気強く治療を続けないといけません。
さらに、AGA治療で使われるミノキシジルは、治療の初期症状として一時的に抜け毛が増える作用があります。
この症状は初期脱毛と呼ばれ、髪の毛が生え変わるために起きる自然な現象です。むしろ、治療薬が効果を発揮し始めているサインなので覚えておいてください。
初期脱毛に驚いてAGA治療を中断せず、効果が出るまで治療を続けることが大事です。
治療薬の使用を勝手に中断した
AGA治療薬は使い続けてこそ効果を発揮するので、治療薬の使用を勝手に中断したことで効果が出ていない可能性があります。
とくに多いのが副作用と思われる症状が出たことで治療薬の使用を中断するケース。
使用を中断してしまうと治療効果が得られなくなってしまうので、まず先に医師に相談するようにしましょう。
もしかしたら、副作用はAGAの治療薬が原因ではないかもしれません。個人の判断で勝手に治療薬の使用を中止しても、副作用が改善するとは限りませんし、逆に悪化してしまう恐れもあります。
繰り返しになりますが、副作用が疑われる場合は個人で解決しようとせず、必ず医師の判断を聞きましょう。
1種類の治療薬しか試していない
AGAの治療薬は万能ではないため、1種類の治療薬しか試していないことが原因で効果が出ていない可能性があります。
AGA治療で一般的に使われるフィナステリド。実は、改善できるタイプの薄毛と改善できないタイプの薄毛があります。
効果が実感できない場合は、フィナステリドでは治せない薄毛かもしれません。
そのため1種類の治療薬を試しただけで、効果が実感できないと諦めないようにしましょう。
AGA治療で効果的な治療薬は、
- デュタステリド
- ミノキシジル
- クリニックが独自開発した治療薬
などフィナステリド以外に選択肢があります。
治療費は増えますが、薬の効果を高めるためのメソセラピーやHARG療法など様々な治療方法が試せます。
効果がなかなか実感できなくても諦めず、医師から違う治療法を提案してもらいましょう。
まとめ:AGA治療の効果に納得して治療を始めよう!
AGA治療の効果について詳しく紹介しました。
AGA治療を行うことで今よりも髪の毛を増やすことは確かに可能です。
AGAを放っておけば、どんどんハゲてしまいます。早めにクリニックで治療を始めましょう。
参考リンク:
AGA治療が受けられるクリニックについて、詳しく知りたいという方は下記の記事がおすすめ。クリニックの選び方やおすすめのクリニックについて紹介しています。